special feature My BABY&Me

img01
vol.03
株式会社スマイルコットン 代表取締役
片山 英尚さん

先輩ママ・パパへのインタビューを通して「育児と仕事」をテーマに物語を紡いでいく特集『My BABY & Me』。

vol.03では、心地よさを追求した繊維素材「Smile Cotton®」を三重から発信し続ける株式会社スマイルコットンの社長・片山様をご紹介。「こどもビームス」の商品に採用されるなど、大手アパレルショップやベビー用品店、百貨店などから高い支持を得ている生地製造行に加え、自社素材を使ったコンフォートウエアブランド「HAAG(ハーグ)」を展開。事業を広げる一方で、子育てにも向き合ってきた片山様の、仕事・育児への思いをうかがいました。

撮影地:『HAAG』ブース(中川政七商店主催「大日本市」展示会内)

創業300年を誇る老舗「中川政七商店」主催の工芸に特化した合同展示会。"日本のいいものといい伝え手を繋ぐ"をミッションに、全国の工芸メーカーと小売店バイヤーが集う場として、約3,000名の来場規模を誇る。渋谷区恵比寿のイベントスペースEBiSにて開催。

smile cotton®はアトピー協会の推薦も受けた肌に優しいオリジナル素材ということですが、いつくらいから製造されているのでしょうか?

もともとは祖父が「片山メリヤス有限会社」としてカットソーの生地づくりをはじめました。それを2代目の父が受け継ぎ、綿でありながらカシミヤのような肌触りを目指して1973年にSmile Cotton®の原型となる生地を完成させました。
でも、当初は技術やコスト面が折り合わず、肌にやさしいコットンがさほど必要とされていなかったこともあり、製品化にはいたっていません。そこから20年をかけて改良を重ね、商品化にこぎつけたんです。

img02

3代目なのですね。もともと、家業を継ごうとされていたのでしょうか?

いえ、むしろ父の苦労を見ていましたから、当時は自分にはできないことと家業を継ぐつもりはありませんでした。大学卒業後は関西で繊維やアパレルを扱う商社に就職して。...まあ、家業に近い業種を選んだのは、父が働く姿をずっと見てきたことがベースになっていたのかもしれませんね。

そこから何かきっかけがあって後を継ごうと思うようになったのでしょうか?

いろいろとあるのですが...ある日、いつも着ているインナーシャツが洗濯中だったので、以前父からもらった「Smile Cotton®」のインナーシャツに袖を通したんですね。冬だったのに「冷たくないし、柔らかい!軽い!」と驚いて。しかも、洗濯後も柔らかさが続いているんです。実は、当時働いていた商社でもSmile Cotton®は商材の一つとして扱っていてはいましたので、評判は知ってはいましたが、実感したのはこの時でした。そして、父も高齢になって会社をどうするか?となったときに、自分が身に付けたアパレルの営業や物流の知識を少しでも生かせればと思い、33歳で商社を退職し、株式会社スマイルコットンに入社したという流れになります。

会社を継いでから事業は順調にいったのでしょうか。

継いだというか、最初は営業のような立ち位置で入ったのですが、大変な仕事だなーと思って見ていましたね。糸を作って染めて、商品にして出荷して…。三重の地方の工場で生地を作っているだけで勝手に売れていくってわけでもないのでビジネスとしては非常に難しいものであったなと。値段も一般的なものよりは高いので。そうする中で、「どういう見せ方をして、どういうお客さんに買っていただくのか」とか、市場において自分で価格を作っていくことを考えるようになりましたね。

いわゆるリブランディングを始めたと。

そうですね。また価値を市場に認めてもらうために自社ブランドも始めて。それが今日も出展しているこの「HAAG」です。

img03

そこから業績も右肩上がりに?

引き継いでから毎年150%成長くらいしてて、当時から売上ベースで4、5倍になっていると思います。

すごいですね! HAAGの直販が伸びたのでしょうか?

直販もそうですが、百貨店さんに置いてもらって、多くの人の目にとまるうちに、OEM製造や生地の話もいただくようになっていったという感じです。

今後はどのような展開を考えていますか?

最近で言えば、紫外線をカットできる糸を混ぜたオリジナル素材や吸水・速乾の素材などを活用したラインの展開を始めています。乳幼児向けの肌着素材としてだけではなく、大人も普通に「かっこいいから」「快適だから」という理由で着て、その結果としてsmilecotton®という素材に興味を持ってもらうという形にしたいですね。

img04

特にコロナ以降、健康への志向は高まってきているので、それに対してどう貢献しているのかと考えるようにしています。

お仕事に邁進されるなか、結構大変そうだなと想像するのですが、お子様やひいては家族とはどのように接しているのでしょうか?

家族もある意味、会社と同じで組織ですからね。そこを大切にできないのは違うと思いますし、正しいことでも頭ごなしに言っても伝わらない、それぞれに対して思いやりがないと。似ている部分は多いと思いますね。

子育てで大切にしていることは?

とにかく“聞く”ことですね。「学校でこういうことをしてくる子がいるんだけど、なんでなの?」みたいなことを子どもが聞いてくる。忙しいときなんかははつい「ふんふん」って流してしまったりしがちだけど、そこは「あ、ごめんさっきの話だけどもう1回」と巻き戻してでも聞く。
習い事のときも送迎だけして終わり、ではなく練習するところを見るということも心がけていますね。

え! 毎回付きっ切りで?

そうですね、息子のサッカーなんかは毎週立ち会っているし、何かできないことがあるときは練習の様子を動画に撮って「ここがもうちょっと」みたいな手伝いも。

「せっかくの休みだし、その時間を使って自分の時間を...」みたいになりませんか?

うーん...結局、子どもは一人では育たないと思っているんですよ、できないことにぶつかったときに、それを乗り越える必要がありますよね。自分は大人だからと上の段から「早く上って来いよ」というのではなく、子どものところまで下りて一緒に手伝う。そうして何段か上っていくうちに困難も自分の力で乗り越えて一段ずつ上がっていく力がついてくる、そういうものだと思っています。

img05

しんどい思いや、乗り越えた喜びなどをいっしょに「共感する」というのが大切だと思います。そうしたポイントを意図的にでも作り出さなければいけないと思っています。「何に興味があって」「何に腹が立つのか」とかを知っておくこと。

ひと昔前の親子像って、そのあたりが欠けてて思春期くらいになると何も会話がなくなって...みたいなものでしたよね。

そうそう。親子が仲いいのは共通の話題があるからだと思うんですよ。友達になる必要はないけども、子どもからしてもしんどいことがあったときも「あ、親はこのことを知ってる、応援してくれている」ってわかると救いになるじゃないですか。

そうなると、将来「スマイルコットン」の4代目はお子さまに?

うーん...(笑)。まあ「やりたい」と言えば。でも、やってみたいとも思えるような楽しい仕事にしておきたいですね。父のものづくりが世の中の人に喜んでもらえている、役に立っていると感じたら自然と興味が沸くのはないでしょうか。そもそも会社というものの存在理由はそういうものだとも思っています。どう社会に対して貢献していけるかという観点は忘れないようにしています。

img05