辛い「つわり」。いつ頃からどんなことが起こるのか、どう対処すれば良いのかを確認しておきましょう。

つわりは、必ず起こるもの?

約80%が経験すると言われているので、ほとんどの妊婦さんにつわりが起こると考えていいでしょう。症状や程度は個人差が大きく、ほとんどなかったり軽く済んだりする人もいますが、入院が必要なほど重症化する人もいます。

どんなことが起こる?

つわりの期間には、吐き気や嘔吐など、消化器系の異常が主に起こります。
特定のにおいに敏感になり気分が悪くなる、食べると吐き気がする、空腹だと吐き気がする、とにかくだるくて眠い…などが主な症状で、唾液が増えるという人もいます。
どんな症状がどれくらい出るかは人それぞれです。いくつか複合して起こることもあり、ひどい時は食事がほとんど取れないこともあります。

いつからいつまで?

つわりは、体の変化が大きい妊娠初期に起こることが多く、妊娠5週目頃から始まるのが一般的です。ピークは8〜11週目頃で、その頃に最も強く症状が出ることが多く、ほとんどの人が16週目頃にはおさまります。
中には、妊娠後期になってからつわりが始まる妊婦さんもいます。

どうして起こるの?

まだわからない部分もありますが、主な原因の一つがホルモンバランスの変化です。
妊娠すると、妊娠状態を安定させて出産に備えるため、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンのほか、妊娠中特有のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが急激に増加します。それらが作用して、母体の体調にも変化を及ぼすと考えられています。

つわりで食べられない時はどうすればいい?

つわりの時期は食の好みが変わり、今まで好きだったものが食べられなくなったり、好きではなかったものが食べたくなったり…ということも起こります。人によって食べやすいものも異なるので、自分が食べられそうなものを見つけて、準備しておくといいでしょう。お腹が空きすぎたり脱水症状になったりすると、余計に体調が悪くなることもあるので、消化の良いものを少量でも口にするようにしてください。
固形物が難しければ、水分だけでも摂ることが大事です。
どうしても何も口にできない場合は、点滴による栄養補給も一つの方法です。

空腹で吐き気がする「食べつわり」の時は?

お腹が空くと気分が悪くなるので、小分けにして食事の回数を増やすほか、簡単につまめる食べ物を身近に準備しておく必要があります。食べたいもの、食べやすいもので構いませんが、カロリーの過剰摂取にならないよう、一度に食べる量は控えめに、よく噛んで満腹感を促すようにすると良いでしょう。

日中でも眠くなってしまう場合はどうする?

自宅等にいて、好きな時に休める環境であれば、体のサインに応じて横になるなどゆったり過ごすのがベストです。
仕事中など休めない場合は、軽く体を動かすなど気分転換をして対処しますが、辛い時は周囲に相談して、時短勤務や休暇取得を検討することも必要かもしれません。

においが辛いつわりは、どう過ごすといい?

食べ物のにおいで吐き気をもよおしてしまうため食べられないという場合は、冷やすとにおいが軽減されることが多いため試してみるといいかもしれません。料理中の匂いが辛い場合は、お弁当やお惣菜などを活用するのも一案です。
洗剤や化粧品などのにおいが気になる場合もあるでしょう。無香料の製品を選ぶなど、原因となる「におい」を生活環境から排除してできるだけ快適に過ごせるようにしてください。自分ではコントロールできない外部からのにおいには、マスクで対処します。

つわりを抑える薬はないの?

つわりの症状が辛い時は、病院で吐き気を抑える薬を処方してもらうほか、点滴を受けるなどの医療行為を受けることもできます。市販薬は胎児に悪影響を及ぼす危険があるため、独自の判断で使用してはいけません。必ず婦人科で相談して処方を受けてください。

気をつけるべきことは?

つわりの時期、特に気をつけたいのが脱水です。
妊娠中は、出産に備えて血液が固まりやすい状態へと体が変化しつつあります。つわりが始まると、食事や水分が十分に取れず脱水状態になって、より血液がドロドロになりがち。運動量も減りがちで、血栓ができる危険性も高まります。命に関わる恐れもあるため、リスク回避のため、食事が難しい時でも水分をしっかり摂ることを心がけましょう。
また、気分転換やリラクゼーションにはアロマテラピーが有効な場合がありますが、アロマオイル(精油)には、子宮収縮を促すものなど、妊娠初期の使用は避けるべきとされているものもあります。取り入れる際は、専門家のアドバイスを聞いて安全に使いましょう。