いまや子育ての必須アイテムの一つとなっている抱っこ紐ですが、残念ながら、赤ちゃんが大怪我をする事故も起こっています。どんな場面で、どんな事故が起こりやすいのか、防ぐためにはどのようなことに気をつければよいかをご紹介します。

抱っこ紐には危険性もある?

子育て中のママはみんな使っていると言っても過言ではない、抱っこ紐。腕だけで抱っこするより重さの負担が軽減され、両手を空けられるため、お出かけ時はもちろん、家事をするときにも便利です。

しかし一方で、赤ちゃんが救急搬送される事故が毎年起こっていることも事実。大怪我をしたり、中には命を落としてしまうケースもあります。医療機関から集まった事故情報をもとに、消費者庁・国民生活センターは繰り返し注意喚起を行なっています。

消費者庁のホームページによると、とくに多いのは転落、窒息、抱っこやおんぶをしている大人の転倒です。詳しく見ていきましょう。

転落が起こりやすい場面とは?

赤ちゃんのケガで最も多いのは、頭部打撲。抱っこ紐からの落下も少なくなく、高い位置から固い地面に落ちると、頭蓋骨骨折やくも膜下出血などの大怪我につながりかねません。

転落事故が起こりやすい場面は、いくつかあります。

たとえば、抱っこ紐を装着するときや下ろすときに手が滑ったり、子供が動いたりして落ちてしまうことがあります。留め具の留め忘れや、きちんとロックされていないことなどが原因になることも。

使用中、全体にゆるみがあって、脇からすり抜けて落下してしまうというケースも多く報告されています。また、物を拾ったり、低い位置に置いたバッグから物を取り出そうとしたりするため、前屈みになった際に赤ちゃんが頭から落ちてしまうこともあります。

いずれも一瞬の出来事なので、「あっ」と思ったときにはもう手遅れです。そうならないよう、十分な注意が必要です。

抱っこで窒息、どうやって起こる?

抱っこやおんぶをしている大人の体に赤ちゃんの顔が密着してしまい、口や鼻が覆われて息ができなくなることがあります。胸が圧迫されて呼吸がしづらくなることも。

布一枚で、ヒダで包み込むように抱っこをする「スリング」は手軽に使えて人気の抱っこアイテムですが、特に注意が必要です。鼻や口が布地や大人の体に押し付けられて息ができなくなるほか、体がC字に丸くなりすぎてしまい、呼吸がしづらくなることがあるからです。
気づいたら赤ちゃんが呼吸をしていなかったという事例も報告されています。使用する際は気をつけましょう。

保護者の転倒も危ない?

抱っこやおんぶをしている大人が転んでしまうことで、赤ちゃんが抱っこ紐から放り出されたり、大人の下敷きになったりして、頭や体を強く地面に打ちつけてしまうことがあります。

抱っこをしていると足元が見えづらくなるため、障害物や段差に気づかずつまずいてしまうリスクがあります。また、体の前や後ろに赤ちゃんの重さが加わることで重心が偏りやすくなるため、バランスを崩さないよう、ふだん以上に注意することが必要です。

どんなことに気をつければいい?

まずは、抱っこ紐の正しい使い方を知ることが大前提です。商品についている取扱説明書や、メーカーが公開しているレクチャー動画には、安心・安全に抱っこ紐を使うための情報が満載です。着脱の手順や、赤ちゃんが楽な姿勢、ママパパとの適切な密着度合いなどが紹介されているので、使用前に確認しましょう。

着脱する際は、万が一失敗しても被害を最小限にできるよう、低い位置で、姿勢を低くして行います。誰かに補助してもらい、しっかり留め具をかけて安定させるまで赤ちゃんを支えてもらえると安心です。

抱っこ・おんぶができたら、留め具がきちんとロックされているか、ベルトに緩みがないかを必ず確認しましょう。途中ではずれてしまったり、赤ちゃんの体勢が不安定になったりすると非常に危険です。使い慣れてきたり、急いでいたりすると確認がおろそかになりがちですが、大事なポイントなので気を抜いてはいけません。
赤ちゃんが動いたらすり抜けてしまいそうなムダな隙間がないか、締め付けすぎて苦しくないか、呼吸しづらい状態に陥っていないかのチェックも行いましょう。

抱っこ紐を使用中に低い位置の物を取る時は、前屈みにならず、体を起こしたまま膝を曲げて腰を落とすようにします。どうしても前屈みにならなければいけない時は、必ず赤ちゃんに手を添えることを忘れずに。

気をつけて正しく使えば、抱っこ紐はとても便利なものです。抱っこ紐を上手に活用して、抱っこ・おんぶ期を快適に過ごしてください。

参照
消費者庁ホームページ
抱っこひも安全協議会ホームページ

 

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