新生児とは、生まれてから数週間だけの限られた期間の赤ちゃんを指す言葉です。
あっという間の新生児期、この時だけの成長の1ページを見逃さないために、期間や特徴、注意点などを知っておきましょう。

赤ちゃん=新生児じゃないの?

生まれたての子どもは一般的に「赤ちゃん」と呼ばれますが、厳密には、1歳未満の赤ちゃんを「乳児」と言い、そのうち出生から28日までを「新生児」と言います。
つまり、生まれた日から4週間、28日未満の子どもが新生児ということです。
ちなみに、満1歳を過ぎたら、そこから小学校入学までは「幼児」です。

新生児の特徴は?

生まれたての赤ちゃんは、骨格も筋肉も未発達なため、ふにゃふにゃです。自分の頭も支えられなくてグラグラしてしまうので、抱っこしたり沐浴させたりする際は首と後頭部に手を添えて支えてあげる必要があります。
1日約15〜20時間と、ほとんどの時間を寝て過ごしますが、ずっと眠っているわけではありません。2〜3時間ごとに起きて、小刻みに眠るのが新生児の特徴の一つです。この時期はまだ一度にたくさん飲めないため、少しずつ何回にも分けて授乳します。目を覚ます度に、1日10〜15回くらい授乳するのが一般的です。膀胱も小さくすぐいっぱいになってしまうため、おむつ交換の頻度も高くなります。

新生児期の変化とは?

驚くべきスピードで一気に成長するのも、新生児期の特徴です。
厚生労働省が発表した「乳幼児身体発育調査」(H22)によると、出生時の平均体重は男子3kg、女子2.94kgなのに対して、30日後にはそれぞれ4.13kg・3.89kgと約1kg増えています。体重だけ見れば、わずか1ヶ月でそれぞれ約1.4倍まで成長していることになります。

いろんな反射が出現!?

新生児期を含む生後数ヶ月は、様々な原始反射が見られます。
代表的な原始反射には、唇に何かが触れると舌を出しておっぱいを吸うような動作を見せる「吸啜反射」、赤ちゃんの体を起こして足を床につけると歩くような動作をする「足踏み反射」、手のひらにものが触れたり足の親指付け根を圧迫したりすると、ギュッと手を握ったり足指に力が入ったりする「手掌把握反射・足底把握反射」などがあります。いずれも生きるために大切な役割のある反応ですが、種類や出現期間は子供によって異なるため、現れなかったり長く続いたりしたとしても、あまり気にする必要はありません。

お出かけはOK?

欧米などでは生まれて数日後でも外出OKで、散歩や日光浴が推奨されていますが、日本では、新生児の外出はタブー視されています。赤ちゃんはママのお腹の中で「移行免疫」をもらっているものの、大人と比べればウイルス等に対する免疫力が弱いことには変わりありません。感染症のリスクに加え、直射日光や寒暖差も負担になることから、外出は避けるべきとされているのです。
多くの場合、生後1ヶ月の赤ちゃんを対象とした乳児健診「1ヶ月健診」が最初のお出かけになります。

新生児期に気をつけるべきことは?

部屋の温度や湿度にも気を配ってあげましょう。新生児が快適に過ごせる温度は22度程度、湿度は50〜60%と言われています。空気が乾燥していると、鼻や喉、肌のトラブルが起こりやすくなり、ウイルスの繁殖が促されて感染症の危険度も高まります。
エアコンや衣服で温度調節することに加え、湿度管理もしっかりしましょう。
また、新生児は大きな音や眩しい光など、強い刺激が苦手です。テレビやオーディオを使用する際は配慮が必要です。

ママパパの過ごし方は?

出産がハッピーな瞬間であることは間違いありませんが、母体に大きな負担がかかることも事実です。産後のママの体にはダメージが残っており、出産前と同じ状態に戻るには1年くらいかかると言われています。
最初の1ヶ月である新生児期は特に疲れ切っているはずなのに、緊張感や責任感などから無理をしてしまいがち。赤ちゃんが眠っている間など、ちょっとした時間でも横になるなどして心身を休めるように心がけてください。
パパもママに寄り添い、お互いをサポートし合いましょう。

利用できるサービスなどがある?

しんどい時や不安なことがある時は、各自治体による産後ケア事業を利用するのがおすすめです。内容や費用負担は自治体ごとに異なるものの、2023年時点で約8割の市区町村で実施されています。
ママの体と心のケアをしてくれるほか、育児の相談にも乗ってくれます。利用方法も、医療機関や助産所等での宿泊を伴うショートステイ型、日帰りのデイサービスに加えて、専門スタッフが自宅を訪問してくれる方法もあるため、ニーズによって選択できます。
民間の産後ケアサービスもあり、医療機関で紹介してもらえることもあるので、出産した病院で相談してみるのもいいでしょう。家族や知人、外部機関など積極的に頼って、無理せず乗り切りましょう。